2017年5月2日
丸5年を経過するビルマルチエアコンの室外機、保全修理(メンテナンス)を実施致しました。
今回は、6階客室の全てを担っている16馬力仕様の大型の室外機です。
圧縮機は2機搭載されていて、それぞれの客室で冷房、暖房が個別に使える冷暖フリータイプ(3way方式)の高級機です。
年中無休365日、休まず稼働しているエアコンですから老朽化部品の退化速度も速いと思われます。
今回の保全修理の目的は各種サーミスタ交換と配管振動干渉によるガス漏れ防止対策です。
サーミスタの役割は、対象温度を電気抵抗値にして基板へ信号を送る役割です。
事前に室外機型式からすべてのサーミスタをピックアップしておきます。
展開図にピンクのマーカーでcheckしているところが対象となるサーミスタです。
交換するサーミスタは5種類となりますが、1組で5本のサーミスタ付きというセットが2系統と同じサーミスタを2箇所という場所もあり、サーミスターの全個数は1台あたり15個になります。
また、配管干渉防止に使うゴムマットも用意。現地にて適正カットし加工して使います。
その他、耐熱用のタイラップ、パーツクリーナー等も用意しておきます。
各種配線の束を展開し、電源ボックスを仮移動します。(交換したい場所は電源ボックスの裏にあります)
サーミスタケーブル、通信系ケーブル、圧力センサーケーブル、電動弁ケーブル、電源系統ライン、アース系統・・・
相当数のケーブルがありますので、作業に必要な箇所の固定用タイラップを丁寧に外して、作業環境を作ります。
圧縮機が2機ですから、左半分、右半分と分割しての作業です。
対象サーミスタ交換の他にも、キャピラリ配管の干渉防止の対策も実施。
経年劣化により、キャピラリ配管に巻き付けている防振ゴムと結束バンドが熱劣化して溶けてしまい結束バンドが外れ、機械の振動でキャピラリ配管同士が擦れ合い、穴が開きガス漏れに致る故障もあります。
キャピラリチューブは減圧が目的の配管で、毛細管のように細く、デリケートな部品です。
写真のように、劣化したゴムマットを外し、新しいゴムマットに交換します。
巻き付け方にも工夫があり配管同士が触れないようにします。
耐熱タイラップでしっかり固定し、配管が動かないようにします。
キャピラリの修正箇所は4箇所ほどありました。
交換したサーミスタ先端の酷い損傷例です。
熱損傷でサーミスタのカバーの蓋(シリコン)が溶けて中身のセンサーが見えている状態です。
このままでは、近い将来に温度検知エラーや圧縮機の故障というところでした。
サーミスタは損傷以外にも温度特性不良(正しく抵抗値を示せない)もありますので一定期間での交換は必須です。